「最後の間者」岡田秀文
2007年12月06日 (Thu) 11:55

最後の間者
ハルキ文庫(角川春樹事務所・時代小説文庫)/岡田秀文
安土城で暗躍する間者たちを描いた時代小説。
物語は信長が本願寺を攻め落す寸前で、羽柴秀吉もすでに毛利勢と対峙している時期です。主人公・市平は安土城内の長屋に住む中間ながら、その正体は毛利の間者として(正確には小早川からの依頼で)諜報活動をしています。
作者はミステリーものを得意とされているようで、たとえば織田家臣・佐久間信盛の離反を誘うための小荷駄のトリックから始まって、間者狩りを仰せつかった織田家臣・村井貞成の必死の思いと空回り、武田や上杉の間者たちとの腹の探りあい、市平たち毛利の間者にもまったく正体のつかめない謎の侍などなど、最後の最後までまったく飽きるところがありません。
終盤でようやくこの謎の侍の正体が解き明かされた時は「そうだったのかー!」と目からウロコ。私めには見破れませんでしたから; また、タイトルにもなっている「最後の間者」も「この人の事だったのか…」と、ちょっと切ない思いに囚われました。
物語の途中には、正体がバレて殺される間者もいますけれど、不必要なまでにむごたらしい描写や展開はありませんし(草・忍・乱波・剣客モノには時としてありますからね;)、なにより主人公の市平に等身大の人間らしい部分が多いため、周囲をあざむく生き方をしているわりにはなにか憎めない人物で、ラストの後味もよかったです。






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