「井伊直政 家康第一の功臣」羽生道英
2007年10月17日 (Wed) 12:25

井伊直政 家康第一の功臣
光文社(光文社時代小説文庫)/羽生 道英
井伊直政が家康の家臣となってからどれほどの信頼と重用を受け、徳川家臣随一の出世をとげたのかがよく分かります。
そのために直政は衆道の相手であったとか、または家康の隠し子説もあるそうで(参考・Wikipedia 井伊直政)、本書も直政を家康の隠し子として展開されています。
ただ、どうもこの作品は私の好みに合ってくれませんでした。
本書は15歳の虎松(井伊直政)が初めて家康に対面するシーンから始まります。家康的には好いた女性の産んだ子供なのでしょっぱなから可愛くて仕方なく、直政の方は勃然と「天下人になれそうな相」を家康に見て取って、早くもこの時点から天下取りを目指します。
たとえば家康ですが、信長の命で正室と嫡男を殺さなければならなくなった場面で「信康(嫡男)は好きでもない女が産んだ子だし、家を束ねてゆける器でもないし、自分には直政がいるんだし…」などと思い、とにかく直政だけが可愛くて仕方のない様子。
また直政は、一刻も早く家康のため天下への筋道を開きたくて明智光秀をそそのかし(でも家康の公認)、まんまと信長を討たせてしまいます。…が、この当時の家康の領土はわずかに駿河の一国だけ。おまけに家康主従は、国許を離れて京見物をしている最中です。そんな状況下でもしも明智が保身のために信長にチクったらどうなる事やら。私めには、いくら直政のお手柄話を創作するにしてもちょっと…と、素直に楽しむのが難しく。
その後の展開でも、なにか事が起こるたびに家康の「いざとなっても直政がいる、その時には親子の名乗りをすればよい」的セリフがくどいほどに登場し、親の色眼鏡でばかり語られるために、返って直政の人となりや功績を正当に評価させにくくする印象がしました。
あと関ヶ原のくだりでは「秀吉の死後、天下を狙うのは家康と石田三成のみ。ただし、三成は明らかに天下人の器ではない」という旨の文章がありまして、これも私めには、徳川の引き立て役として今だに三成を貶めるの?と感じられ、少々不愉快に…。
どうも気持ちよく読む事の出来ない作品でした; せっかく先月は彦根城を見に出かけた事だし、井伊直政をちゃんと知ろう!と思っての読書だったのだけどな。






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