「里見義堯」小川由秋
2007年09月16日 (Sun) 07:41

里見義堯(よしたか) 北条の野望を打ち砕いた房総の勇将
PHP研究所(PHP文庫)/小川由秋
著者のあとがきには「房総の里見氏は、滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』で存在が有名である反面、その架空の物語の影となって実像が薄れてしまった」と書かれています。
私なども、『南総里見八犬伝』のあらすじはなんとなく分かっていても、戦国時代の房総半島に割拠していた武家についてぜ〜んぜん存じませんでした;
本書は天文2年(1533年)から始まり、里見義堯の亡くなる天正2年(1574年)までの物語。北条・武田・今川の三国同盟、信玄・謙信の対立、今川義元が織田信長に討たれ、上洛途上で信玄が他界する、といった戦国時代の真っ只中です。
里見義堯は、安房(房総半島の先端)一国のみを支配する小さな勢力でありながら、関東一円の覇権を握りたい相模の北条氏には従属せず、関東管領の上杉謙信と手を結び、あくまでも対抗を続けて、最終的には房総半島のほぼすべてを手中にします。…が、長年に渡る争いの中で、国府台合戦では二度までも北条氏に大敗し、そのたびに上総の地は目まぐるしく里見氏の手から北条氏にまた奪い返されてしまい…。読み進めながら、よくぞ取り返したものだと感嘆させられました。
また、無二の腹心・正木時茂との関係、その弟・里見水軍を率いる正木時忠、日蓮宗の僧・日我、嫡子・義弘とその正室、娘・種姫など、それぞれの人間味を感じられる描写に好感を持ちましたが、登場がやや唐突で人物の説明文が目立つ…といった印象も。もう少し、各人物像の掘り下げが欲しかったです。
ところで余談ではありますが、ワタクシめは東京生まれの千葉育ちでございます。
読書中はよく地理確認のためGoogleマップのお世話になっていますけれど、本書に限っては読みながら地理関係や距離感がすんなり頭に落ちてくるので、その点が非常に面白かった。地理的な実感がともなうと、読書もますます面白く感じられるものなんですね〜。






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