「島津義弘の賭け」+「島津義久」
2007年07月03日 (Tue) 07:50

島津義弘の賭け
中央公論新社(中公文庫)/山本博文
秀吉の九州平定軍との戦い、文禄・慶長の役、関ヶ原の戦後までが史料に基づいて書かれており、主人公は義弘ながら島津家の内情もよく分かります。
島津義弘といえば、鬼島津・薩摩示現流・チェストー!のかけ声・関ヶ原の際の敵中突破・各社ゲームの猛々しいキャラクターなどから、私めもその程度の(貧相な;)イメージを抱いていましたが…。
この人は伏見に駐在した時間が長い事もあって、国許の連中と考えを異にしています。義弘は「豊臣政権に尽くす事こそお家のため」と思い、でも当主(実兄)の義久は「豊臣とはなるべく距離を置く」行動を選択していますので、様々な齟齬が生じて苦労が絶えません。また、本書で多々紹介されている義弘自身の手紙などを見ると優しげで、人格者的な趣もあり、とにかくお家のために尽力してもなかなか報われない苦労人といった印象。
ただし、下の本と読み比べてみると、義弘と義久の考え方(相違の理由)がどちらも理解出来たため、私にはより楽しめました。合わせてお読みになる事をお勧めしたいです。

島津義久 九州全土を席巻した智将
PHP研究所(PHP文庫)/桐野作人
物語は祖父の代から始まって、九州地方の勢力図と抗争の内容、島津の本宗家と分家の関わり方などが(上記の本よりさらに)詳細に描かれています。また義久は、島津家の英雄・実弟の義弘の影に隠れがちですが、国主の立場から大局的に時勢を眺め、立派にお家を守りとおしたもう一方の立役者だという事に納得がゆきます。特に、関ヶ原以降のお家保存に苦心する義久の姿には、エールを送りたい気持ちにさせられました。
読了後、作者あとがきにある「義久の肖像画だけが現存しない」という嘆きには、私も強く同感を。それと、ささやかながら私的にとても気に入った点として、本書は島津家中の会話がすべて薩摩弁であるところにも深〜い味わいが! さすがに、他家はほぼ標準語風味でしたけれど。実際、大阪城内や関ヶ原の戦場にはさまざまな方言が飛び交っていたのだろうな、と想像してみるのも面白いですよね。
(…よかった〜、引越し前に読了出来たー!)





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