「毛利元就」山岡荘八
2007年06月05日 (Tue) 04:57

毛利元就〈1〉 | 毛利元就〈2〉
講談社/山岡荘八
本書は毛利元就の幼少期から始まり、厳島の戦いまでが書かれています。
特に、尼子晴久3万の軍勢にわずか2000の寡兵で勝利してしまう(吉田郡山城の戦い)くだりと、大内家(義興)家中の乱れ〜家臣の謀反による殺害の顛末に多くのページが費やされています。
そして元就は、謀略に長けた狡猾で暗々とした人物像ではなく「百万一心」を信条に、理想と志が高く、信義をつらぬき、知的で迷いのない頼もしい主君であり、いつでも白い歯をキラリンと輝かせている君子といったイメージが…。山岡荘八さんの流れるような美しい文体と相まって、とにかく惚れてしまいそうなほどカッコよい。
ただし、元就の謀略をサポートするある2人の人物にすべての汚れ役が押し付けられているような印象がぬぐえません。また、たとえば家督相続の際の家中の粛清や、吉川・小早川両家を乗っ取る経緯にもまったく触れられていませんでした。う〜ん、この元就さんにはちょっと美化されすぎの感が残ります;
もう一つ、厳島の戦いで陶晴賢を破って大内氏を滅亡に追い込んだあと、尼子氏・大友氏との重要な戦いが続くハズなのですが…厳島で勝利した場面であっさりと終わってしまうため「あれ?前半であれほど克明に描写されてきた尼子晴久との決着は?」という物足りなさも。なので、作中では中国地方の覇者には至りません。
それはさて置いても、私的には、戦国時代を代表する「稀代の策略家」と評されるほどの男のすさまじさや恐ろしさを、もう少し垣間見せて欲しかったという気がします。






Comments
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山岡荘八の主人公美化は定番じゃないでしょうか? とにかく作者として、潔く主人公の贔屓に徹する。そこが、エンタメ・小説として面白いんだと思うんですよ。
司馬遼太郎だと、バランスいいんでしょうけどね。
僕は両方とも好きです。
なるほどなるほど…。
恥ずかしながら私は今回、山岡荘八氏の作品を読んだのが初めてで、この作家さんの作風といえるほどに存じ上げなかったのですが、思えば…自分が日本史に興味を持ったキッカケは、ある歴史小説の主人公が非常にりりしくカッコよかった事でした(笑)
その点からも、本書の主人公・毛利元就もほんとに魅力的に描かれていますよね。
ただ、ここに感想の続きのようなものを書くのもちょっとアレではございますが;、影で働くある2名が覇業の大部分を担いすぎているような…そういったシーンが多く、主人公自身の実績が影薄くなっているなぁと、そんな思いもしたのです。
ですが、私もこの作家さんの作品をもういくつか読んでみようと思います。潔く主人公の贔屓に徹するエンタメの醍醐味、を改めて味わってみる事にしますね(笑)
ご意見を、どうもありがとございました。
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