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「戦国軍配者 嶋左近」山元泰生

戦国軍配者 嶋左近
戦国軍配者 嶋左近

小学館スクウェア/山元泰生

※2001年初版の単行本でAmazonでは在庫切れ、文庫にもなっていないようなので古本屋で探して購入しました。

大和国の筒井順慶に仕えていた時代から始まり、君臣の心理描写やエピソード、合戦の場面・経過などまでが丁寧に描かれています。
私は、左近の前半生について詳細に書かれたものを読んだ事がなかったので、ついでに筒井順慶と松永久秀の生涯もこれでいくらか知る事が出来ました。

さて。ここに登場する左近は冷静さも持ち合わせつつ、いざとなれば物怖じせずに諫言・苦言を呈するいかにも質実剛健な人柄で、清々しい男らしさが印象的。猪突猛進でも謀略画策を弄するタイプでもなく、とにかくりりしい武人です。
筒井家を退去したのち、関ヶ原の戦いに至るまでの展開は少し早足になりますが、西軍挙兵以降の、特に三成とのやり取りはとても緻密に表現されていて、読み進むうちすっかり左近の心境にシンクロさせられます。左近の視点に立つと、いつまで経っても全軍終結を待って頑に動かない三成に、心底から歯がゆさが込み上げてしまい…。ただ、三成も可愛げのあるどこか憎みきれない人物で、関ヶ原当日未明の会話シーンは泣き所でした。
一説には再度出撃したとも言われていますが、本書では、被弾した左近が陣中で落命して終わります。そして生き残った人物に、陣中で没したために埋めたと言わせています。遺体が見付からなかった人なので、想像としてはアリですよね。心情的には壮絶さに欠けるためやや物足りませんけれど;、かと言って「落ち延びた説」も否定したいし…。
そういえば、左近が「百間橋」を架けたというエピソードには触れられていません。でもお話の流れの上で、不要と言えばそうなのですが。
ところで差し出がましくも、この機会に少々私見を述べさせて頂きます。
本書では三成が知行4万石の半分を与えて嶋左近を召抱える展開になっていますが、あれこれの史料には、左近が秀吉の直臣として禄や形見分けを受け取っていたり、秀吉配下として小田原の役に参加していたり、三成に付けられた「与力」という記録もあるそうで、上記のエピソードは後年の創作なのだそうです。これについては「Wikipedia」の「島清興・石田三成に再仕官」という項によれば、小姓時代の三成が知行の400石すべてを差し出して渡辺勘兵衛を召し抱えており、この話が創作の元となっているらしく。
ただ私は、自分の知行すべてを宛行(あてがい)に差し出すという思い切りを美談と感じるので、間違いの指摘が意図ではなく、実際はこうらしい…と言いたいだけでございます;

また関ヶ原の戦いの、西軍挙兵の首謀者が石田三成とされている事について。
Wikipedia」の「関ヶ原の戦い・前哨」という項を見ると、真っ先に盛大な出陣式を行ったのは宇喜多秀家であり、三成もその決起に賛同した上で挙兵したそうな。少なくとも、五大老の一人であった宇喜多秀家も家康への敵愾心を大いに抱いていたわけですよね。
でも、西軍が三成を中心とする派閥だった事、地理的にも東からの侵攻を防ぐ重要地が三成の所領付近であった事、それに宇喜多秀家が落ち延びて天命をまっとうした事も合わせて思うと、私は徳川政権下で一番の悪者扱いをされた石田三成が哀れでなりません。逆に、それほど好かれにくい性格だったのか…とも想像出来ますが、西軍の大半が時勢に乗って内通していたにせよ、同じ思いで自主的に西軍に付いた人が少なからずいた事は事実だし…。
嶋左近から激しく脱線した上に、長々とすみませんでしたー!
気になるあれこれ > 買った本、読んだ本
author : みかん。 | comments (0) | trackbacks (0)
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