「上杉三郎景虎」近衛龍春
2007年02月09日 (Fri) 16:18

上杉三郎景虎
光文社/近衛 龍春
746ページある分厚い文庫で、麗しい表紙はイラストレーター小島文美さんの手によるものですv
本書を読む以前は、謙信公が2人の養子(景虎と景勝)のどちらかに家督を決定せず急死、景勝と跡目を争い(御館の乱)敗れて自刃を遂げた可哀相な人…という程度の知識しかありませんでした。まして、美男だったなんて事も知らなかったですよ!<そこ重要?
物語は景虎の誕生時から始まります。生家は、関東一円に勢力を張っていた北条宗家。
しかし景虎は、大名の実子なのに幼少期からあまりにも無体な扱いを受け続け(戦国乱世の時代なので、この人に限った事でもありませんけれど)、上杉家に養子という名の人質として向かうくだりでは涙が出そうになりました。必ずしも、身分の高さが豊かな人生に比例するものではないという代表例のようで…。美しい容姿が多少は人から愛されたかもしれませんが、生涯をとおして彼の役に立ったとは印象されず、また本書では、美男であった点を謙信に気に入られていた(※これは事実であるらしい)事も特には強調されておらず…そこは正直かなり惜しかった!<なにが!
そして読了後に最も悲しく思い返したのは、謙信の薫陶を受けて心身共に上杉家の人間になりきった景虎ではありながら、勝つための戦略・調略をないがしろにして当初の優位がどんどん逆転してゆく辺り、なにか必死さでは最初から負けていたような。作中でも武田勝頼から面罵されるシーンがあるように、この人はやはり心のどこかで生家(北条家)の勢力と血の繋がりを頼みにしていたのかと思えて仕方なく。結局は北条家の援軍も得られないまま丸1年間も争い続け、とにかく哀れな最期でした。
ただ最後に余計なツッコミながら、景虎の聡明さがちょっと見えにくかった点、それに終盤である女性が一番悪者っぽくなってしまった点と、その逆に景勝が一番の理解者風味で終わった点には少し引っかかりましたけれど;
ところで「Wikipedia」の上杉景虎を参照しますと、武田家に人質として送られた件は近年では事実ではなかったとされているようです。






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