「夏草の賦」司馬遼太郎
2007年01月24日 (Wed) 21:42
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夏草の賦 [新装版] 上 | 夏草の賦 [新装版] 下
文藝春秋/司馬 遼太郎
物語は、25歳の長曽我部元親が2度めの正室をめとる時点から始まりますが、冒頭ははるか遠くの美濃国から輿入れする姫(斎藤利三の妹)の視点で進められ、この姫がだいぶやんちゃな性格でのちのちまで面白いシーンを見せてくれました。
上巻は織田信長による脅威にさらされる場面で終わり、下巻に入ると最愛の嫡子・信親(長男)がクローズアップされて、信親の死に至るまでの父子関係が丁寧に描かれてゆきます。私的には、主人公である元親以上に正室や信親の彩りが印象に残って面白かった。そして信親の死後の長曽我部家については、ごく簡潔な説明のみで終わりを迎えます。
ただ、20年あまりの人生をかけてやっと統一した四国を秀吉に召し上げられ土佐一国の主に戻ってしまい、続けざまに最愛の嫡子まで失った長曽我部元親という人の未練のほどを推し量るには、ちょうどよいボリュームかと。
元親の生涯に関して、私は宮地佐一郎著の「長曽我部元親」という本も読み(紹介エントリはこちら)ある程度の把握をしましたが、気力がくじけてしまったこの人の晩年は一転して(少々手厳しい表現をすると)暴君とも受け取れるような変化をしてしまうため、司馬遼太郎さんはそんな痛ましいギャップまで書きたくはなかったのだろうと思えてなりません。






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