「鉄砲三国志―大坂の陣外伝」+「長門守の陰謀」
2006年11月13日 (Mon) 05:29

鉄砲三国志―大坂の陣外伝
角川書店(角川文庫)/南原 幹雄
タイトルの「三国志」と「大坂の陣」のWネームに惹かれ購入(笑)
どこら辺が三国志なのかと言いますと、かつて国友・堺とともに「三大鉄砲鍛冶」と称された近江の日野が技術的な立ち遅れから存亡の危機にまで追い込まれ、それを挽回すべく奮起するというお話です。主人公は武将ではなく、あくまでも日野の鉄砲鍛冶師たち。刺客に追われつつ製法技術入手のために10年近くも国を離れ、会心の鉄砲を造り上げ、最後は大坂ノ陣の西軍の中に身を置く事に…。
ストーリーは面白かったものの、前半にやや内容の重複した(将来を憂う日野鍛冶たちの)説明的セリフが目立ち、後半の展開にはどこか駆け足のような印象が。また、登場人物全般にあまり個性的な人柄が読み取れず…主人公サイドにも感情移入がやや困難で、なにか淡々とした心境のまま読み終えてしまいました;

長門守の陰謀
文芸春秋(文春文庫)/藤沢 周平
「夢ぞ見し」「春の雪」「夕べの光」「遠い少女」「長門守の陰謀」の5話が収録された短編集。
巻末の解説(関口苑生さん)がお書きのとおり「夢ぞ見し」は女性の目から見た武士道小説で、「長門守の陰謀」は庄内藩のお家騒動を題材にした歴史小説、あとの3作品が市井の人情ものというバリエーションに富んだ構成で、姿が目に浮かぶかのような生き生きとした人々の描写が見事です。
私的に特に面白かったのは「夢ぞ見し」で、これもテーマはお家騒動なのにそのお家騒動にまったく関与しているつもりのない女性の視点で展開するため(ネタバレで済まない;)、まるでおとぎ話のようなファンタスティックな印象。りりしい若武者にちょっぴり浮かれて幼なじみと互いに亭主を愚痴りあい、若武者の気ままな様子に腹を立て、でも亭主のカッコイイところも目の当たりにして見直したり…まんま現代主婦を彷彿とさせる武家の妻女。というか、私はこの女性と同じ体験をしてみとうございます!






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