「城塞」司馬遼太郎
2006年10月21日 (Sat) 01:53

城塞 (上巻) / 城塞 (中巻) / 城塞 (下巻)
新潮社/司馬遼太郎
やっと読了。上巻は冬ノ陣の開戦直前まで、中巻は徳川家と豊臣家の和睦までという構成。さすがに舞台が大阪ノ陣だけに、長い物語を読み終えた達成感よりもやるせないため息の方が深いです。
さて。本書は、大阪ノ陣を経たのちに幕府の要請で甲州流兵学(武田信玄の戦略・戦術を基にした軍学)を完成させた人物、小幡勘兵衛(景憲)の目線で書かれています。上巻での勘兵衛はふてぶてしくてなかなかのちょい悪オヤジ風味がイカしてたのに、開戦が近付くにつれ淀殿や大野修理の薄弱っぷりと大阪城入りした牢人たち(後藤や真田)のもう後がない清廉さとの対比の中で、その後どんどん存在感が希薄になり、下巻になると主人公格として全うすら出来なかったというか…。
…ま、その勘兵衛はともかくも、司馬遼太郎さんの淡々としながらも緻密な筆で掘り下げられた人物像の重みが最大の魅力。終盤の主役達である後藤又兵衛・毛利勝永・真田幸村もさる事ながら、個人的には苦労のあげく報われなかった片桐且元にかなり同情を覚えたし、同情はしにくいものの淀殿がけっこう生々しかったです。
しかし、仮に自分が淀殿と同じ立場だとして、人間・世間操作技術の粋を極めたような家康にロックオン!されたら…言いなりになろうが受けて立とうが、最終的にはどうあっても滅亡への道をたどらされてしまったろうなと、切なく思うほかありません;
ちなみに、司馬遼太郎さんの長編作品を戦国の時系列で並べると、織田信長「国盗り物語」→豊臣秀吉「新史太閤記」→「関が原」→「城塞」となります…が「国盗り物語」はまだ未読。






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